自動車の盗難の実態と自動車保険を利用した対策
以前、私の知り合いの自動車が盗まれてしまったことがあります。
普段は自宅の駐車場(誰でも簡単に侵入できるタイプですが)に駐車していて、当然カギもかけていました。しかしある日の出勤前、駐車場にあるはずのプリウスが消失していたそうです。
警察に被害届も提出しましたが、担当の警察官に「プリウスは需要があるので盗難の可能性が高いです」と言われたとのこと。
車種別盗難件数(平成29年版)
車種 盗難被害件数 盗難率 保険請求件数
1位:プリウス 986 0.5パーセント 62
2位:ハイエース 878 1.1パーセント 32
3位:ランドクルーザー 478 2.2パーセント 28
4位:エルフ 289 0.4パーセント 5
5位:キャリィ 269 0.1パーセント 0
上は車種別盗難件数(平成29年版)であり、一番多く盗難されているのはプリウスだということが分かります。
ただ、盗難率はランドクルーザーやハイエースの方が大幅に高いです。プリウスは販売数も多いので、盗難率が劇的に高いわけでなくても盗難被害件数そのものは多くなるということですね。
平成20年の国内の車両盗難被害件数は27668件であり、そこをピークにだんだん件数は少なくなってきています。そして平成29年には10213件にまで改善されました。
これは、駐車場における人間を感知するセンサーが搭載されたライトや防犯カメラ設置、また、盗難防止装置であるイモビライザーなどの利用率が高くなってきたおかげではないかと思います。
また、盗難防止サービスを提供している警備業者も多いですし、盗難された自動車の在り処をGPSによって探る事ができる技術も普及しています。
ちなみに、盗難が最も発生しやすいのは駐車場です。
ただし、ゲートがあれば仮に自動車にカギがかかっていなくても盗難されにくくなるようです。
開けている駐車場は少なくありませんが、ガレージやゲートを設置して自動車の盗難のリスクを少しでも下げることをおすすめします。
自動車の盗難を補填する車両保険と気を付けるべきこと
自動車任意保険の中の車両保険に入っている場合は、自動車の盗難被害に遭っても、車両保険金額で定めておいた保険金が支払われます。ただし、車両保険にもタイプがあり、「限定A」や「一般型」以外で契約している場合は、盗難被害に対しては補償されません。
また、以下のような場合は「限定A」か「一般型」で契約していても補償されません。
・誰かと手を組んでわざと自動車を盗ませた
・記名被保険者(契約者)に極端な落ち度がある
まず、ダッシュボードにスペアキーをしまっていた、カギをつけたまま駐車場に駐車していたなどの場合は、「極端な落ち度」とみなされるので保険金はもらえません。
また、保険金をもらうために誰かにわざと盗ませた場合などのも保険金は出ません。・・・当たり前ですね。
そのため、損害保険業者が「盗難時の状況」を把握するために1~2カ月程度はしっかりと調査することになり、それで「極端な落ち度」がないことが判明すれば保険金が貰えます。
ですから、ドライブレコーダーや盗難防止装置(イモビライザー等)を設置したり、毎回必ずキーロックするように心がけたりして、万が一盗難にあった際に過失を問われないようにしておきましょう。
また、保険金が出るまでに1~2カ月かかるわけですから、代車費用負担特約(代車費を出してもらえる特約)等も付けておくと安心です。
車両保険のタイプと保険料のシミュレーション
プリウスの保険料(型式ZVW50、免責0~10万円、車両保険金額230万円の場合)
車両保険のタイプ 一般型 エコノミー(車対車+A) ミニマム(車対車) 車両保険ナシ
保険料 66090円 48050円 46030円 32170円
盗難補償 ○ ○ × ×
「プリウスZVW50で普通の自動車保険の設定て契約した」として、保険料の算出を行ってみました。
車両保険金額が230万円をやや高いですから「車両保険ナシ」と「一般型(全部を補償する)」では、保険料に3万円を超える差が出ています。
ただ「ミニマム(自動車同士の事故のみを補償する)」と「エコノミー(自動車同士の事故だけでなく、盗難、いたずら、落書きも補償する)」については2000円くらいしか保険料に差がありません。ですから、あえてミニマムを選ぶ意味はないでしょう。
また、保険料が2000円ほど上がるだけで代車費用特約(1日に付き5000円)を付けることができるので、場合によってはこれも利用した方が良いでしょう。
車両保険を盗難に対して利用しても保険料が上がる
さて、車両保険を盗難に対して利用すると、次の更新の際に1等級下がり「事故有等級」が1年間適用されるので保険料が上がってしまいます。
ちなみに、保険金を貰った翌日を1日目として、盗難車が60日以内に見つかったのであれば、その自動車を再度利用することが可能。その場合は保険業者に保険金を返すことになりますが、見つかった自動車の一部分が盗難されていたり破損したりしていた場合は、再度車両保険を利用して保険金を受け取ることができます。
また、調査が済んで保険金を貰う際は、「損害保険業者が盗難車の名義人」という扱いになるのでそれも覚えておきましょう。
と、このように様々な補償を受けられるわけですが、やはり日頃から自動車の盗難対策を
徹底しておくことが重要です。コストのこともあるので無尽蔵になんでも導入できるわけではありませんが、できる限りの防犯をして下さいね。