「等級」によって自動車保険の保険料は変わります。そして一緒に暮らしている家族であれば等級を受け継ぐことができることをご存知でしょうか。
一例として母親の等級が高いものの免許証を返納して自動車を使わなくなったのであれば、一緒に暮らしている子どもの自動車に対して、その等級を受け継いで自動車保険の契約をさせることができます。
ただし、一世帯で持っている自動車の数が変わらないのであれば、等級を受け継ぐのは不可能なので気を付けましょう。
一例として、1台の自動車A(20等級、母親名義)を子供と母で一緒に使っていたとします。そして、新しく自動車Bを購入して子供が自動車Bを使うことになったとしましょう。
このケースでは自動車Bを「母親名義の自動車任意保険の対象車」に変えて→「20等級の任意保険」の名義を母親から子供に変えます。
この手続きで自動車Bを最高等級である20等級の状態で自動車任意保険に入らせることできるので、保険料が大幅に安くなります。
そして、セカンドカー割引を利用して父親が7等級から自動車Aの任意保険契約をすれば、自動車Aも自動車Bも自動車保険と契約できたことになります。
特にこのようなケースで自動車保険の料金を抑えるには、等級が低い自動車保険の補償範囲から、自動車保険が高くなる要因の年齢が下の人物(=自動車Bを新たに使う子ども)を除外すのがポイントです。
自動車の台数の増減がないと原則として受け継ぎはできない
では、「元々自動車を2台持っている。古い方の自動車にかけられている自動車任意保険(等級が高い)を、もう一台の自動車に受け継ぐ」ということはできるのでしょうか。
このケースでは自動車の数が変わりませんから、原則として等級を受け継ぐのは不可能です。
ただし、自動車保険業者のスタッフに古い自動車を売却または廃車したことを報告し、指示に従って名義替えや廃車処理をすれば受け継ぐことができます。
「一緒に暮らしているかどうか」が大事
お子さんが進学や就職などで家を離れて、自動車を買った際には気を付けなければなりません。これによって別居した扱いになり、等級を受け継げなくなるからです。
このようなケースでは、保険の乗換日と新しい自動車の納車日を合わせなければなりませんから、納車日が決まった段階で、保険の切り替え、自動車の納車、車両入替の申請を行いましょう。そして、それらが済んでから引越すことが大事です。
また、「車両入替の申請日」の段階で一緒に暮らしていれば引き継げる保険業者も存在しますので、スタッフに聞いておくようにしましょう。
それから、自分名義の自動車を「離婚時の財産分与」で妻(夫)の名義に変更する際にも気を付けなければなりません。離婚前に別居してしまえば、当然等級を妻(夫)や子供に受け継がせることが不可能になるからです。
ちなみに「一緒に暮らしている」という表現を使ってきましたが、まさにその通りであって「住民票」ではなく、「本当に一緒に暮らしているのか」で基本的に判断されます。
結婚していても何らかの理由で別居していれば等級は受け継げませんし、逆に結婚していなくても一緒に暮らしているのであれば(内縁状態など)、等級を受け継ぐことが可能です。
また、細かい部分ですが明確な二世帯住宅で、事実上別居している場合(壁があって簡単には行き来できないなど)には「一緒に暮らしている」ことにはなりません。
任意保険の等級受け継ぎ関連での不正は絶対にNG!
ただ、住民票の登録を調整するなどして、「見かけ上は一緒に暮らしている」ように見せれば等級を受け継げてしまう場合もあります。
ですが、交通事故を発生させて調査が行われ、そのことが明るみに出てしまえば保険金が出されなくなる可能性があります。
また、保険料自体は貰えることになっても、差額は返還しなければならなくなります。
このような事態に陥らないためにも、受け継ぎの仕方や条件に関してはちゃんと保険業者のスタッフに聞いておくようにしましょう。
家族同士での等級受け継ぎ条件まとめ
・一緒に暮らしている(寝起きを共にするような)家族(三親等以内の姻族、六親等以内の血族)
・一緒に暮らしている配偶者(結婚していない内縁でも可)
・自動車の台数の変わる必要がある
新生活の時期には、家族間で引継ぎで子どもを対象にするケースが多いですが、あくまで同居が条件のひとつとなっている点には要注意です。
進学、就職、結婚などで家を離れることが決まったときは、同居をしているうちに引継ぎを済ませるようご注意ください。