他人の自動車を運転するときの補償は「条件設定」に左右される
他人名義の自動車を運転するケースは案外少なくないものです。では、その際の任意保険（自動車保険）の補償はどうなるのでしょうか。
まず「借りた自動車に、自動車保険がかかっている（もちろん自動車の所有者がかけている）」場合について。
任意保険では「補償範囲」を運転する人物の属性によって定める（運転手限定）ことが可能です。
大別して「限定なし」「配偶者限定」「家族限定」「被保険者当人限定」の4種類があります。
あとは、運転する人物の年齢によって定める（年齢条件）こともできまして、この場合は「制限なし」「21歳以上」「30歳以上」「35歳以上」などとなっています。
「運転者限定において、限定がかかっていない車」は誰が運転したとしても自動車保険の補償をしてもらうことが可能です。ただし、運転している人が年齢条件もクリアしていなければなりません（年齢条件が制限なしなのであれば関係ありませんが）。
ただし、他人に交通事故を起こされた場合にちゃんと補償されたとしても、その自動車の名義人の等級が下がる（事故有等級になる）ので、事故を起こした人は「補償されるのだからいいだろう」と開き直らないようにしましょう。
さて、当人が任意保険に入っているのであれば、「他者運転特約」を付ければ、他人名義の自動車を運転するときにも自動車保険の補償の対象となります。
他人名義の自動車を運転する機会が良くあるのであれば、付けておいた方が良いでしょう。年間数千円保険料が上がるだけですし、かなりコストパフォーマンスは良いと思います。
ただし、他者運転特約を付けていても「家族や親族の自動車」「本人の別の自動車」は補償の対象外となるので気を付けましょう。
また、車両保険も補償されることになりますが、「当人が入っている自動車保険の車両保険額」までしか出ません。ですから、高額な車を借りて交通事故を起こした際は、自分で払う範囲が広くなることでしょう。
他人の自動車を運転するときは「1日任意保険」が便利です
それから「1日任意保険」というものも存在します。1日単位で500円から入ることができる任意保険であり、コンビニやスマートフォンからパパっと加入できるので便利です。
補償内容は「搭乗者傷害保険上限1000万円」「対物補償・対人補償上限なし」「対物超過補償50万円」となっているので十分でしょう。また、ロードサービスもタダで使えるので、一時的に誰かの自動車を借りる場合に役立ちます。
それから、保険料はアップしますが上限300万円までの車両保険を付けることも可能です。
そして、交通事故が発生して保険金を出してもらっても、当人や他車の等級が変化しないという利点もあります。
ただ、これに関しても配偶者や当人名義の自動車に関しては適用外となります。
また、「週1度」など、定期的に借りている自動車に適用外となります。
他人名義の自動車で任意保険に入る際に気を付けたいこと
その自動車の売買契約書や領収書を所持していて、「実質的にこの人が所有している」とみなされれば、他人名義の自動車であっても任意保険に加入することが可能です。
ただし、次の点には気を付けてください。
・ローン残高
・その自動車の自動車保険の契約期間中の事故歴
自分の自動車になる前に、元の所有者が交通事故を何度も起こして5等級以下になっていると、事故有等級や低等級を継承しないと任意保険に入れなくなる場合があります。
なぜなら
「多く交通事故を起こす→損害保険業者に契約を切られる→別人を被保険者にする→『運転者限定なし』にして、また元通り運転させてもらおうとする」
という事を試みる方が少なくないからです。
そのため「記名被保険者と、自動車の所有者の関係性」に関しては保険業者は絶対にチェックします。
等級が低い・事故有等級の人の名義のまま任意保険に入ろうとすると、保険料が高額になる可能性があるという事を覚えておきましょう。
また、もらう自動車のローン残高に関しても前もってチェックしておきましょう。
ローンがまだ7割以上残っているとなると、加入できない場合があります。
ただ、これに関しては損害保険業者次第で変わってくるので、一括見積もりサービスなどを使う折に「ローン残高〇%」などど記入しておけば、加入できるか否かも調べてくれます。
また、自動車関連の書類や、ローン残高の返済義務者の証明書類などを提示してからでないと、自動車保険に加入できないケースがあるので、保険業者の担当スタッフに相談しておきましょう。
