自動車保険には「等級制度」というものがあり、交通事故によって保険金を出してもらえば等級が1～5等級になって保険料が上がってしまいます。
しかし、交通事故を発生させなければ（厳密に言えば保険金を請求しなければ）、等級が7～20と保険料が下がっていきます（20が一番自動車保険料が安くなります）。
この等級ですが、家族同士でも受け継ぐことが可能ですし、
保険業者同士でも受け継ぐことができますので、保険業者を切り替える際には必ず確認しておきましょう。
受け継ぎができる自動車損害保険業者についてですが、業者の規模は関係ありませんから大手でなくても大丈夫です。
また、外資系、通販タイプ（ダイレクトタイプ）であっても受け継ぐことができます。それから、マイカー共済（全労災）、コープ共済、JA共済などとも受け継ぐことができます。
ただし、車両保険を個別に契約しているケースや、教職員共済を利用している場合などは、引継ぎができなかったり、引継ぎができても特殊な条件があったりするので気を付けましょう。
自動車保険業者同士で等級を受け継ぐための条件
自動車保険の引き継ぎは
・等級の受け継ぎができる共済、自動車保険業者である
・自動車保険の満期日（解約日）から1週間以内に次の保険に入る
という条件を満たせるのであれば自動車保険業者同士で等級を受け継ぐことができます。
まず、自動車任意保険の満期日（解約日）から1週間以内に次の共済や自動車保険業者に入らなければなりません。そうでないと、たとえ等級が20であったとしても元に戻ってしまいます（原則として等級が6にもどります）。
「1週間以内」ということで結構忙しく、もたもたしているうちに等級がリセットされてしまう恐れがあります。ですから、事前に次の任意保険に入るための準備をできる段階まで進めておいてから満期日を迎えられるように（解約するように）心がけてください。
今入っている自動車任意保険の満期を機に別の保険業者に切り替えるのであれば、満期の2～3カ月くらい前から、各社の保険料、ロードサービス、補償詳細などを調べて比べて始めましょう。
ちなみに次の自動車保険業者が決定したら、現行の任意保険の満期日（解約日）を報告しておけば、その日の16時に等級が受け継がれて、次の保険業者に補償されるように変わります。
「中断証明書」で自動車保険の等級をキープしましょう
では一時期的に自動車を使わなくなったとすると、今後再び乗るようになったときに以前の等級をそのまま適用させることはできるのでしょうか。
これについてですが、何もしなければ「満期から1年と1カ月」の時点で等級が6に戻ってしまいます。仮に20だったとしても6にリセットされるので気を付けなければなりません。
ですが、自動車を使わなくなったのであれば解約時に「中断証明書」を作っておけば、等級をしばらくは（最長10年）そのままにしておくことが可能になります。
ただし「今自動車に乗るのが不可能である」ということを証明しなければ、中断証明書を作ることはできません。
一例として、自動車の盗難に遭ったのであれば盗難届を。自動車を手放したのであれば譲渡証明書や廃車証明書などを、保険業者に渡さなければなりません。
また、車検が切れて乗ることができないという場合でも中断証明書を作ることが可能です。
中断証明書を作るための条件は具体的には以下のとおりです。
・手元に自動車がないこと（譲渡、廃車、盗難など）
・もしくは、半年以上海外に行くこと（そのことの証明書などを提示する必要があります）
・満期より1年と1カ月以内に手続きを終わらせる
・最新の自動車任意保険の等級が7～20
自動車を手放さないしても、海外に長期間行く（留学、国外赴任など）のであれば中断証明書を作ることが可能です。
そして、海外に行くということを証明するための書類が必要です。（赴任命令書、留学先の学校の合格通知書など。詳しくは保険業者に問い合わせてください）
海外に行くというケースであれば当然自動車を手放さなくても中断証明書を作ることはできますが、日本に戻ってきてから12カ月以内にもう一回契約しないと中断証明書が無効になってしまうので気を付けましょう。
任意保険の等級を受け継ぎつつ再開する際には「新しい自動車の車検証」と「中断証明書」を保険業者に提出することになります（海外特則のケースでは、所有中の自動車の車検証が必要になります）。手続きが正常に進めば、以前の等級からまた始めることができます。
「満期日（解約日）から1年と1カ月放置すれば等級が6に戻る」というのは、元々の等級が1～5だった場合でも同様です。ですから、等級が下がってしまった場合はこの方法を使って等級を戻すのも良いでしょう。
ただし、もちろん1年1カ月は自動車保険に入ることができなくなりますので、特殊な事情で自動車に長期間乗らない場合にしか実践できない方法です。
